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(一部、加筆訂正しました)
ロシア映画の「12人の怒れる男」です。 あの有名なシドニー・ルメット監督の1957年の名作「十二人の怒れる男」を、 ロシアの巨匠ニキータ・ミハルコフ監督が現代のロシアに置き換えてリメイクした作品。 この映画のレビューを読んでみたら、 「人を裁くことの難しさを描いた作品で、裁判員制度についても考えさせられます」みたいな感想があったけど、それってどうなんだろう? ちょっと違うような気がするけど、 とにかく、この「12人の怒れる男」という映画がめちゃくちゃ素晴らしい作品なので、 裁判員制度の始まるこの機会におすすめしておきますね^^ 物語は、チェチェン出身の青年が、ロシア人の養父を殺したという事件の裁判で、 12人の陪審員たちが一室に集められるところから始まります。 最初、11人の陪審員が有罪に賛成してすぐにも決着がつくかという時に、 唯一、一人の陪審員だけが反対する場面があるのですが、 (ロシアの制度では、多数決ではなく12人全員が一致しないといけないので) そのあたりは、もし自分だったら反対できるかな~と考えさせられたりしました。 でもね~、その後はもう、まるで舞台劇さながらの展開で、 あまりにリアルじゃないので、裁判員制度の参考にはならないかも^^; だって、陪審員が一人一人、自分の生い立ちや、境遇、家族のこと、仕事のことを延々しゃべりまくる審議って、実際にはありえないでしょ^^; この、陪審員たちがそれぞれに語るエピソードが、どれもいいんですけどね。 ペーソスがあったり、悲喜こもごもだったり、含蓄があったりで、惹きつけられる話ばかり^^ まるで、人生の見本帳みたいだって思いました。 なにしろ、陪審員というのは、基本的に人種や階層に偏りがないように選ばれるから、 ユダヤ人もいれば、少数民族出身の人もいる、金持ちもいれば、最下層の人間もいる。 インテリの男もいれば、そうでない男もいる。 12人の違った人間を、12人のロシアの男たちを、じっくりと観察することに、 この映画の醍醐味があると思うんですよ。 だから、裁判員制度について考えてみたいひとにおすすめじゃない以上に、事件の謎ときや、有罪か無罪かでハラハラするような法廷サスペンスを期待するひとには、この映画はおすすめじゃないです。 はっきりいって、この映画の陪審員さんたち、根拠の薄い思い込みで、有罪か無罪か判断しちゃってますから^^; どちらかというと、人間くさ~いドラマを味わいたいひとにおすすめ。 私は、まともにロシア文学って読んだことないですけど、ゴーゴリや、ドストエフスキーといった、 ロシアの文豪たちの世界にも通じるのかなと思うような、人間の普遍性を描いている映画だと思う。 そして、物語の語り手の目線には、時には愚かであったり、臆病であったりもする、 12プラス1の人間への慈愛のようなものがあふれてる、とも思いました。 映画の最後の最後で、こんなテロップが出るんですよ。 「法は強くて揺るぎないが、 慈悲の力は法をはるかに凌ぐ」 これこそが、この映画の、ニキータ・ミハルコフ監督の訴えたかったことなんですね。 この言葉を観た瞬間、ぐっと胸に迫るものがありましたけど。 「法は強くて揺るぎないが、 慈悲の力は法をはるかに凌ぐ」というのは、 法律のすべてを凌駕してしまうような言葉なだけに、 じゃあ法律って何だろうと考え出すと解らなくなってしまうようなところもありました。 ま、人を裁くには愛がなくちゃね、ってことなのかなと自分的に理解しちゃいましたけど^^; 私がこの映画を観て解ることといえば、 裁く側も、裁かれる側にも、裁判までに過ごしてきた人生が問われるんだ、ということ。 そういう点でも、自分はほんと、裁く側にも、裁かれる側にも絶対なりたくないですけど。 まさに、この映画でいうと、 ひとつの判決には、12人の陪審員+被告の少年の、13の人生があるんですね。 そして、裁判を理解しようとすることは、社会を理解することでもある。 この映画では、チェチェン情勢、賄賂社会といった、現代のロシアが抱えるさまざまな問題が、 被告と陪審員たちの人生の向こうにありありと見えていました。 で、映像も素晴らしいんですよね、この映画。 最初のタイトルロールからしてカッコいいですし、重厚な室内劇でありながら、凝った映像になっていて見飽きない^^ 繰り返しインサートされる映像もよくて、現在から過去のチェチェンへと、観るもののイメージを飛躍させるようなフラッシュバックが印象的でした。 独房で踊るチェチェンの青年の姿も、遠い日の母親の面影も、紛争の惨状も、 今でも目に焼きついちゃっているくらいで。 審議室に紛れ込んだ一羽の小鳥も、ほんと象徴的に撮られていましたね~ 自分としては映画館で観なかったことが悔やまれるのですが、DVDでも十二分に堪能していただける映画だと思います。 今年の最高点(イースタン・プロミスと同点)をつけてみました。 ただし、長い~ 160分の作品なんですよね^^; 12人の陪審員たちの、果てしなく長い討論に付き合う覚悟のある方だけ、どうぞ。 「12人の怒れる男」公式HP allcinema「12人の怒れる男」 my評価 :★★★★☆ (★五つで満点、☆は★の半分)
by do-little
| 2009-05-21 03:52
| ■12人の怒れる男
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