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今、最も期待されてる監督のひとり、西川美和監督の期待の新作。
脚本はよく練られていて秀逸、映像もいい、音楽もいい、俳優たちも好演だ。 極めて、良質の映画。 …なのに、映画を観ていて、ため息をついてしまった。 な、な、なに、このため息? ひょっとして、あたし、こんな評判の映画を観ていながら、ダレちゃってる?ジレちゃってる? と、自分でもあれ?と思ってしまったのですが^^; おそらく、今年のブルーリボン賞やキネ旬の賞を総ナメにするであろう映画だというのに、 私ときたら、後半ちょっと退屈して、ため息などついてしまったのでした。 ここから<ネタバレ注意!>です。 ネタバレ注意!とはいってもね、 鶴瓶師匠扮する主人公の伊野がニセ医者だってことは、事前の紹介記事でも明かされてること。 ここが、西川美和監督の自負を感じさせるところというか、 つまり、ニセ医者であるという種明かしを予めしてしまっても、映画が始まって早々に主人公が失踪してしまう結末を先に明かしてしまっても、ニセ医者本人と彼を取り巻く人々の複雑な心情を描くことで最後まで観客を引っ張っていける、という自信をうかがわせるような脚本のつくりなんですよね。 (でも、私は引っ張り続けてもらえなかったわけなんですが…^^;) 西川監督といえば、前々作「蛇イチゴ」でも、前作「ゆれる」でも、揺れ動く心理描写や微妙な人間関係を鋭い観察眼で描いた脚本が評判だったひと。 人間の裏表とか、鬱積した気持ちとか、狡さとかを描いて、観る人を「あっ、解る解る。そういうのってあるよね~」という気分にさせる。 「蛇イチゴ」は"毒のある話"だったし、「ゆれる」は、"ヒリヒリと痛い話"でした。 じゃあ、この「ディア・ドクター」は、どんな話だったかをひと言でいうと。 もちろん、題名のイメージ通りの"ほのぼのした話"なんかじゃなくて。 社会の矛盾も突きながら、人間味あふれた登場人物たちを、時にユーモラスに、時にシニカルに描いて、最後は切ない気分にさせられるような。 "おもしろうてやがてかなしき…"といった感じの話だったんでしょう。 でしょう、と書いたのは、前半はまあ話に引き込まて面白く観れたのですが、後半、ニセ医者の伊野と村に住む未亡人かづ子の話に映画がシフトしていったあたりから、徐々に映画から気持ちが離れてしまったもので。 伊野とかづ子、ふたりの慎ましやかな思い…淡い恋というよりは"思慕"とでも表現したくなるような感情が、どうにもこうにも、観ていてぐっとこないんですよね。 かづ子の役は、西川監督は最初から八千草薫をイメージしながら脚本をあて書きしたそうなのですが、老いらくの恋みたいなベタベタしたものとは違った、もっと凛としたものを、かづ子には保っていてもらいという思いが監督にはあったのかなあと思うのですよ。 でも、かづ子にある凛としたイメージが邪魔するのか、彼女と井野がお互いに仄かな愛情を抱いている、という関係が解りにくかったような気がします。 訪ねてくる伊野を待つかづ子が、いそいそと口紅を塗るシーンでは、え~、そんなことしちゃう?って意外な感じがしたくらいでした。 ふたりでごはんを食べたり、TVで野球を観たりする何気ないシーンも、いい感じの空気が漂ってる風には思えなかったし。 まあ、ぶっちゃけ、八千草薫と鶴瓶師匠では違和感ありすぎだ~って思う、個人的な偏見からくる印象なのかもしれないんですけどね^^; それにしても、かづ子の家から帰る伊野が、玄関先のかづ子に見えるようにペンライトの光で合図をするシーンは心に残る場面のひとつなんだろうな~って思うんですが。 本来なら、離れがたい気持ちを抑えて、さよならの言葉を光で伝えている様子は、恋のシグナルを点滅させるホタルにも似た切ないものであるはずなのに、鶴瓶師匠のそれは、なんだかニヤけたおやじがペンライトでふざけてみせてるようにも見えて、苦笑してしまいました…^^; 極めつけは、緑一色の田んぼの中に佇むかづ子に、まさに失踪しようとする伊野が脱いだ白衣を振るシーン。この場面も、きっと切なくてじんとくる場面なんだろうなあ、などと思いながらやたら冷静に観てしまってたのでした。 主人公、伊野の役を鶴瓶師匠が演じたことについては、あちこちで高い評価を得ているようなので、とても書きにくいのですが。 伊野役は、鶴瓶師匠でよかったんでしょうか? 少なくとも、私的には、伊野の役は鶴瓶師匠じゃないほうがよかったかな~ 西川監督は、あちこちのインタビュー記事で、鶴瓶師匠を伊野役に起用するにいたるまでについて語っているんですけどね。 雑誌やパンフに載っているインタビュー記事の重箱のすみを突付くようなことをしても仕方ないんですが、そういった西川監督のインタビュー記事を読んでも、結局、伊野というのはどういう男なのか、ということですら、その時々で言ってることが色々なので、読んでるこちらとしては益々解らなくなる。もちろん、インタビュー記事がその人の真意を必ずしもきちんと伝えるものではないことは重々承知ですが^^; キネ旬の記事によると、西川監督は「40代以上で、 ある程度大柄な、人に安心感を与える体躯を持っていて、ニセ医者だからこそ、限りなく本物に見えたほうがいい。悪役に見えたり、いかにも怪しいという感じではなくて、立ってるだけで人が寄ってくるような雰囲気を持ったひとがいいなと思いました。はじめは、韓国の俳優ソン・ガンホさんをイメージしました」と伊野の人物設定について語ってます。 でも、鶴瓶師匠、確かに立ってるだけで人が寄ってくる雰囲気かもしれないけど、それはNHKの番組における彼のイメージであって、彼本来のキャラは、けっこう人を寄せ付けないようなひとという気がする。 それに、鶴瓶師匠、悪役に見えたりするし、いかにも怪しい感じもする…^^; 一方、映画のパンフレットでは、西川監督はこう語ってます。 「伊野という男は、決して強烈な個性の持ち主ではないんです。人々の真ん中にいて、みんながそちらを向いているけど、よく見ると実体がない。むしろ液体のようにヌルヌルした、実につかみ所のない人間なんです。自分というものがなく、周囲の期待に合わせてどんどん変わってしまう男。だからこそ、脚本段階でイメージした役者さんすらいなかったし…」 え、鶴瓶師匠って、強烈な個性の持ち主だと思いますけど? ただね、鶴瓶師匠って、きっとシャイで、コンプレックスがあって、どちらかというと気が弱いタイプだと思う(失礼でゴメンナサイ^^;)んですけど、その点では井野に向いてるかもしれませんね^^ それから、笑っているのに哀しそうな顔、という点でも、とっても伊野っぽいひとなのかもしれない。 じゃあ、どうして、鶴瓶師匠の伊野がピンとこなかったのか。 それは、鶴瓶師匠というのは、私にとってはもう記号化されたような存在だし、しかも大阪弁のセリフだったから、「かまへん、かまへんがな~」ってヘラヘラ笑ってすますような大阪人のイメージが私の中で固定化されちゃってるんでしょうかね。 そのせいもあってか、この映画で一番ほろりとさせられる伊野の場面…失踪した伊野が、公衆電話からボケちゃった父親に電話して、昔ペンライトを盗んだのは自分だと告白する場面でも、どうしてか心に迫ってくるものがなくてとっても残念でした。 ああ、ここはいい場面だな、と頭では解るんだけど、心がいいなあと感じることなく淡々と観てしまう… そんなことの繰り返しに終始してしまったので、この映画の私の評価をつけるとしたら、たとえ、たいへんよくできた作品でも「よくできました」のハンコしか押せないかなあ、というのが正直な感想です。 私的に は、キネ旬で西川監督が語ってたように、韓国の俳優ソン・ガンホの主人公で撮った「ディア・ドクター」が観てみたいなあ。ついでに、村人たちや主要な登場人物も、「トンマッコルへようこそ」の俳優さんたちや、「グエムル~漢江の怪物」の俳優さんたちを起用してもいいかも。 なんか、このところの日本映画はおなじみの役者さんたちばかりなんですもん。 こう言ってはほんと申し訳ないけど、脇を固めた香川さんや余さんはほんと名演だったけど、あまりにこの所あちこちの映画でお目にかかるので、お顔に飽きてしまいました^^;ほんとにゴメンナサイですが。 刑事役が松重さんと岩松さんだったのも、三木聡監督ファンにとっては、あまりにも記号化されたふたりで、刑事が伊野の周辺を調べて過去を明らかにするシーンはそれが物語の核心に触れるような場面でも素直に観ることができませんでした。 映像はよかったです。 何度となく使われてた「絵」ですが、緑一色の田んぼが美しく撮られていました。 室内のシーンでも、自然光ぽいライティングで人物を撮ってるのが美しかった。 ただ、時々インサートされるショットは、いかにもって感じだったなあ^^; 田んぼを渡る風が、緑の稲をざわざわさせるショットとか。 迷い込んだカナブンや台所の流しで溶けていくアイスクリームとか。 一番、文句無しによかったのは、音楽! もうオープニングから、ブルースっぽいギターがよかったし、緊張感のあるシーンでは、効果音ぽいピアノの音が鳴らされるのも冴えてたし、私は映画の音楽は映像に比べたら解らないんだけど、 センスのいい音楽なんじゃないかと思いましたよ。 「ディア・ドクター」公式HP allcinema「ディア・ドクター」 my評価 :★★★ (★五つで満点、☆は★の半分)
by do-little
| 2009-07-21 03:42
| ■ディア・ドクター
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